2015/03/10

The Blower's Daughter

きみが才能に恵まれていて、こんなちっぽけな町で生涯を終えてしまうような人間じゃないって、わかってるよ。昔からそうだった。きっとここはきみが居るべき場所じゃないんだ。きみに相応しい相手なんて現れるわけがない…例えばそれがぼくだなんてことも、ない。そんなの初めからわかりきってたんだ。

きみが与えられたものを投げ出せばいいのにって、ある朝突然に何もかも失ってくれればいいのにって思った。そして平凡な、ただの優等生として、隣に立つ…対等になれたらいいのにって。ひとりよがりな、醜い嫉妬だ。ぼくはきみの傍で微笑みながら、そんなひどいことを思っていたんだ。ずっと、ずっと。

きみは優しいから、ぼくのことを責めないだろう。そして自分は取るに足らない些末な人間だと…いまそう言おうとしたね?ずっと見てきたんだもの、わかるさ。でもそれは間違いだ。きみは、人生は選択の連続だと言った…それは確かだ。でもね、選んできたのはきみじゃない。世界がきみを選び続けてきた。

ここでぼくが手を差し出しても、きみは絶対に取らないよ。わかるさ、きみのことなら何でも…少し伸ばせば届く距離なのに、こんなに遠いことがあるものかって、そんなことを思い悩んだこともあった。簡単なことだったよ。だって、全部そういうふうにできているんだ。きみは、決して、この手を取らない。



( Damien Rice - The Blower's Daughter )