2012/10/09

オークでできた背中

1階はエントランス、ガラス扉の正面の螺旋階段を上ると踊り場に革のソファが展示してある。上層階はダイニングテーブル売り場だとの看板に従いさらに上へとゆくと、大女がいる。大女というか和田アキ子だったのだけれど、彼女はクリーム色のツーピースを来て、胸元に薄いピンクの薔薇のコサージュをしていた。入学式の保護者のような格好であるのにその行動はそぐわないもので、右腕を存分に振り切って、それにつられる形でその長い身体が躍動している。卓球をしているのだ。展示されているダイニングテーブルたちを卓球台に見立てて、もう滅茶苦茶にピンポン球を打ちっ放している。力加減の分からない彼女に打たれた球は方々に飛んでゆき、あちこちにへこみを作った球が転がっている。たまに食器戸棚のガラス窓にヒビを入れたりしている。なかなか異様な光景ではあるが、何より心臓に悪いのが打ち込む瞬間の絶叫であった。「ゴオォォォォオル!!」。競技が違うし、ゴール出来ていない。