ここのところ、これといって起承転結のない夢ばかりだからうまく覚えていられない。睡眠と覚醒のあいだらへん、断片的なイメージとそこに辛うじて引っ付いている物語がふあんふあんと薄まっていってしまう。そのとき大体において人はそれを夢だと思わないし、夢と現実という対の概念すらない。思考のスイッチがどこかでいきなり切り換わって、いきなり現実がやってきて夢世界はプチッとオフになる。夢を見ていたという考えに至る思考は、もう夢のうちにはない。ドアを開けて初めて私たちは部屋のなかにいたことを知るのだった。
6月18日の夢
『フローズン・タイム』みたいなスーパー、あらゆる洗濯洗剤の液体バージョンを揃えた棚の前でぼんやり佇んでいた。じっさい私はニュービーズを愛用していて、その青いボトルの液体バージョンを見つけるのだけど、いかんせんこれが割高なのだった。他のものより容量が小さいくせに、いくらか高いのだった。私はちょっと怒っていた。
6月20日の夢
なんだか沼みたいな学校の昇降口には真夜中だというのに人が結構いた。そこは水浸しでほとんど電気が点かず、その水がちょっとぬらぬらして黒く、サーチライトが水の動きに合わせて揺れている。靴棚が水に沈んでいるのがうっすら確認できた。大雨被害に遭った夜の学校というふうなのだけど、沼のようなこの状況が通常らしく、ザブザブ音を立てて人びとは歩いている。薬局のような品揃えのおしゃれな購買もあって、ボディファンタジーが売られていた。
私は誰か女生徒に手を引かれて外に出た。何故だか屋外は校内ほど水浸しでなかったけど、白い上履きが泥で汚れてちょっといやだなあと思っていた。私はしばらく病欠していた生徒であるらしく、つまりいくらか勉強が遅れてしまっているわけで、特に急ぎの単元が「香水の飲み方」であると彼女は教えてくれた。彼女はこちらを一度も振り返らず、ぐいぐい私の手を引いて走っていくので息切れがした。進む先のずうっと向こうの地平線に見えるのは、黒と紫とオレンジと白が混じった、夕焼けにも朝焼けにも見える色だった。