去年の今頃はしじゅう乾麺ばかり食べていて、満腹感を得るためにより多くの咀嚼を必要とする歯ごたえの、つまりは生煮えの麺を啜っていた。そんな様だったので当然腹も下りっぱなしで、前の夏じゅう下痢だった。もともと濃い味が苦手なので希釈タイプの麺つゆはひとより薄めに作っていたけれど、それがさらに薄くなって、実家暮らしの頃から慣れ親しんだ瓶入りのおいしい万能つゆからプラスチックボトルの化学調味料ボトルになって、薬味も添えることもなくなって、うすいうすい、よくわからないものを啜っていた。それほどお金がなかったのだ。
乾麺は好きだ。そうめんも、ひやむぎも、うどんも、蕎麦も、どれも大好きだ。けれど何だかゆがめられてしまった気がする。いつか夢のように愛するひとが出来て、停電か何かのときに乾麺しか食べるものがないからと、ふたりでランタンの灯りにヌーと照らされて啜り、たまに微笑み合うなどの温かい思い出で上書きされなければいけない。