2011/06/02

ろくがつおばけ

六月一日の夢 

私は商店街のたばこ屋みたいなこぢんまりとした店を構えていた、が、たばこ屋ではなくドーナツ屋さんであった。飲食バイト時代に散々目にした業務用フライヤーがレジ台に置いてあって、私は客の前でドーナツを揚げている。実演販売だ。油もろくに切っていない、揚げたてアツアツを通り越して火傷のもとのそのドーナツを紙袋に放りこんで客に渡す。そしてドーナツ屋として調理と販売をこなすかたわら、薄いデスクトップ型のパソコンでネットをしているのだった。グーグルで「DIY 超がんばれ」と検索をかけ、結果をひたすらにチェックしていた。他のキーワードにがんばれ超がんばれの類のフレーズが並んでいて気持ち悪かった。



六月二日の夢

眼球に白ニキビのような吹き出物がぽっつり出来てしまった。その事態にすっかり縮みあがった私は、よりいっそう強烈な体験によって眼球ニキビの恐怖を和らげるために旅に出た。マウンテンバイクに跨って、中国の石窟なんかがありそうな山中の絶壁を走り回るのだった。おとなしく眼球ニキビに打ち震えていたほうが幾らかましな気がした。

私にとって眼球はいっとうグロテスクな気持ちにさせる部位で、それは例えば内臓のようなあからさまなものではなくて、何というか、デリケートなところが表に出てしまっているのが堪らなく怖ろしい。内臓は見るに耐えかねる様相であるけれど基本的に目につかぬものだから、まあ実際に目にしなければ何でもないのだ。眼球(というか目)の何がいけないか、薄く涙で覆われた角膜のてろっとした光りぐあいだとか、ぐわぐわ揺らぐ瞳孔だとか、強膜に透ける血管だとか、そんなものが表側に出てしまっているのがとてもこわい。