2011/07/28

帰結のない話

7月28日の夢 

とても長くて暗くて悲しくて、ちょっといかれている夢を見た。 

地元のデパートの、ゲームセンターの陰の非常階段そばのスペースで輪を作って話し合いをしている。それは楽しい集まりではなくて、中学まで一緒だった友人を嗜めているのだった。彼女は不治の病に罹ってしまったらしく、それがもとで自棄を起こして男癖が悪くなったり盗みやドラッグに手を染めてしまったりしていた。私たちの言葉にも「どうせすぐに死ぬのだから好きにさせろ」と耳を貸さない。実は夢のなかでの私も死期が近いということになっているのだけれど、それは言えずにひとり悩んでいるのだった。 

ところでこの夢にはサイドストーリー的に老人と少年の話が時々挟まれている。 

この老人も死期が近い人だった。それについて知らされたとき、折しもサッカーを教えていた少年が才能を見込まれてビッグクラブに入団することになり、老人はこれを機会に少年に別れを告げようとする。少年は少しばかり頭が弱く、そしてとても繊細だったので、自分の死を引きずり続けてしまうだろうと思ったのだ。彼の将来を考えるなら早いうちに離れたほうが賢明だと考えた老人は、少年を突き放そうと冷たく当たるようになる。しかし鈍い少年は相変わらず老人を慕うので、苦悩した老人は頭がおかしくなっていってしまう。
老人も別に好きこのんで少年を蔑ろにしたわけではなく、どうも少年に自分を忘れさせるのは無理だと悟ったので、せめて死が訪れるまでに自分の好きなものを託そうとする。しかしまともな方法が思い付かないほどに老人は頭がおかしくなっていた。今日は好きな映画のサントラを聴かせてあげようと自宅の書斎に少年を呼ぶ。老人は映画や音楽をたいそう好んでいたひとであったのでレコードやディスクをたくさん持っていたのだけれど、何と彼は部屋にあるデッキにセットできるだけのディスクをセットして同時再生を始めた。いろんな音楽が混じってよくわからない爆音でいっぱいの書斎で、虚ろな目を閉じた老人とニコニコ笑顔の少年がいる。少年は老人と一緒にいられるのがただ嬉しいので、この異常な状況は気にならないのだった。 

私も死期が近い人間のひとりであるので、たまに病院に通っている。そこでの顔なじみに、もはやアフロに近いボリュームのくるくるの金髪の子がいたのだけど、それが夜中の病院のロビーを入院着で歩いているのを見つける。私は声をかけて近寄るのだけれどこちらを向いてくれないので、そのくるくるの頭を抱えて匂いを嗅ぐ。それが人形のナイロンの髪の毛みたいな匂いがするので不思議に思っていると「あなたも死んだらこうなるのよ」と言われた。


目覚ましが鳴って朝が来た。