7月4日の夢
ちょっと今までに見たことないような夢。自分が死んでしまったことに気付いていない幽霊になるというものだったから。
私はペットショップで金魚を眺めていた。水槽がいくつも上に上にと積み上げられていて、しかも照明が絞られていて暗いのでとても圧迫感のある店だった。グッピーのようなちっこいのからボテッとした出目金まで、品種によって分けるということがなされぬまま適当に魚たちは水槽に放りこまれていた。そのうちの一匹を見繕って私は店員に声をかけるのだけれど、とにかく無視されてしまう。仕方なく街に出る。そして私は現実世界と何ら変わらぬふるまいでいるのに、自分と周りとの間に明確な線引きがされているのに気付いた。それは悪意による差別などではなくて、何処となく気まずそうな顔をして目を逸らすのだ。彼らには確かに私の姿が見えている、しかしそれを認めてはいけない。
卒業した小学校の給食室で食事をすることにした。適当なところに腰掛ければ勝手に配膳してもらえる仕組みらしかったが、私のところにだけいつまでも食事が来ない。見知った顔の、食堂の他の客たちがこちらを控えめにこちらを窺っているのがわかる。しびれを切らした私は自分で食事を取りに席を立った。食事の用意をしていたのは実際に小中学校の給食を作ってくれたおばさんで、彼女はこう言った。「あなた飛行機事故で亡くなったはずでしょう、何でこんなところにいるの」。全く覚えがないけれど、飛行機の墜落事故で私は死んでしまっていたらしかった。霊感の有無にかかわらず「死んだはずのわたし」は皆に見えるようで、しかしその異常な状況を口に出すことは憚られたために、よそよそしい素振りで知らんふりをされていたのだ。
そして私は18歳のつもりでいたのだけれど、食堂に居合わせた同級生たちは22歳になっていた。つまり死んでから4年が経っていた。