2011/10/02

多幸感

10月2日の夢

中学まで同級で、高校は違えど通学バスで毎日顔を合わせていた友人がいるのだけど、彼女と私は何かとんでもない事件を起こしてしまう。いくらか死人を出してしまったらしいけれど、そこにどういった経緯があったのかは覚えていない。そうして指名手配されてしまった私たちは世界じゅうの注目を集めているという事実に興奮していたし、映画の主人公になった気分で、馬鹿みたいに浮かれていた。『ボニーとクライド』みたいだと思ったけど、彼女はそういったものを理解しないタイプの子だったので言わないでおいた。黄色のオープンカーで海岸沿いのハイウェイを走る。水平線にじりじりと近付いていく夕日はあまり赤くなくて、白っぽくて冷え冷えとした印象だった。

次に覚えている場面はどしゃ降りの田んぼのど真ん中で私たちが決別しようとするところだった。いつしか私たちはこの楽しい逃亡生活に終わりが来ることを感じ取っていた、というか、知ってはいたけれども直面せざるを得なくなったらしい。指名手配犯をいつまでも世界にのさばらせておくわけがないのだ。包囲網が徐々に狭まってきたらしい。私は捕まるなんてまっぴらごめんだったが、彼女は自首によって逃亡生活を終わりにしたいと考え始め、泣きながら「もうやめよう」と言うのだった。雨と田んぼの泥で汚くなった彼女の顔を見ながら、私はひどく裏切られた気分になったし、大事件を起こした相棒がこの程度の奴だったのかと落胆した。これはもう私の知らない人間なのだなと知らんふりを決め込んで、私は田んぼを真っ直ぐに突っ切る畦道をひとりで歩き始めた。その途中で目が覚めてしまったので、私は彼女を夢のなかに置き去りにして来てしまった。