コロシアムのようなすり鉢状の会場で物産展が催され、開会式で上から下に行進するのだけど待機場所を間違えたためひとりだけ上下ではなく左右に動きまくって悪目立ちする夢をみた。
アニメ化された漫画の主人公という設定で、しっかり者の弟と暮らすビデオ屋店員になる夢だった 毒物が垂れ流されている廃工場を止めようとしてそこに住み込む男を説得に行き、最後のツメが甘く男の逆鱗に触れて突き落とされてガクンとなるあの感覚で起きた。
救急車や消防車といった緊急車両を人生逼迫カーと呼ぶことを提案する夢。
修学旅行で縦に細長くて狭い雑居ビルに行き、ほこりをかぶったメニューサンプルばかりの飲食店街に怒りながら妥協して魚の骨でだしをとった濃くて脂ギトギトのラーメンを食べるも千円を超える価格にまた怒る夢。
路地裏にひっそり垣根を構えた家に私は住んでいた。ぼんやり遠くの空を眺めているとビルディングらしき影の連なりがスモッグに滲んでぼやけているのが見えるので、ここがとても大きな都市に埋もれた住宅街なのだろうなと思っていた。さてその町で私は、現実での仕事で何度か関わりのある女性とご近所さんということになっていて、その彼女が失踪したのだという。これといった手がかりもなく、捜査は難航する。関係者として私のもとにも警察の者がやってくるのだけど、なぜだかクイズミリオネアの方式にのっとった回答方法で事情聴取が行われる。もちろん司会はみのもんたで、あの薄暗いスタジオでミラーボールがビカビカきらめいてはまわり、銀の紙吹雪が舞っていた。だいたいBって答えていた気がする。
帰りはおばあちゃんが市立図書館の近くでワゴン車を停めて待っていてくれたので、助手席に乗り込んで一緒に帰った。おばあちゃんはウィリーが出来るのよと言って披露してくれて、これがなかなか上手いのでそのまま図書館脇のお堀のまんなかにポツンとたたずむ大判焼き屋に買い物に行くのだった。夢なので物理法則は色々と無視である。おばあちゃんが無免許であることも無視である。
ところでクイズミリオネア事情聴取の際にはいちおう出演者らしく借り物の衣装を身につけていたのだけど、首元の露出が控えめな白のミニドレスでたいそう可愛らしいのだった。湯気の立つ大判焼きにかぶり付くと、細かく刻まれた野菜が薄く赤みを帯びてこぼれ落ちてきて、白のレースの襟元を汚した。ミネストローネだった。味の薄いそのミネストローネを包んだ大判焼きの不味さよりも、衣装を汚してしまったことのほうを気にしていた。
採石場のような、灰色の小石ばかりの寂しい色合いの町に私はいた。建物が少なく、車も少なく、人とも滅多にすれ違うことのない、でも田舎とは言い切れないところだった。そういった町によくあるように自動販売機がポツンポツンと佇んでいるのだけど、何故かその夢の世界では自販機が冷蔵庫にすり替わっていて、つまり道端に冷蔵庫が唐突にあるのだ。家庭用の2ドアの冷蔵庫を開けると飲み物が入っていて、そこから人びとは好きなものを取っていく。料金はどうするのかはわからなかった。
私は自販機荒らしという迷惑な奴になっていて、冷蔵庫のドアの内側のポケット部分に吐瀉物を撒き散らして歩くというのを繰り返していた。何も知らずに開いた客が驚くという寸法である。もちろん警察に追われていて、しかしずいぶん上手くゲロを操ることが出来るので嫌疑をかけられずにのさばっていた。
生まれも育ちもかすりもしない、縁もゆかりもない市での成人式に参加することになり、ぬれ雪で足元の悪いなか市民会館へと向かう。成人式だというのに振袖や袴といった華やかな装いのものはひとりもおらず、みな一様に光沢のない漆黒のスーツなのだった。男は無地の黒のネクタイをして、女はみなパンツスーツだった。そんななか私だけ何故か私服で、羽を毟られた鳥のような貧弱なホヨホヨしたファーの付いた茶色のダウンジャケットを着ていて、当たり前だけども悪目立ちをしていた。私は会場わきに寄せられた雪の山に立て掛けられたスノーダンプをひったくるように手に取り、おおかた除雪されているロータリーをあてもなくうろつき始めた。私は間違えて私服で来た新成人ではない、市の除雪係なのだと自分に言い聞かせていないと恥ずかしかったのである。私は夢のなかでまで意地っ張りなのだった。
これとはまた別の夢で、地元のスキー場につながる傾斜がきつく急カーブの連続の坂道を私は歩いていた。そこの地域は下宿屋が多いという設定になっていた。坂の4合目あたりに「星ちゃん」なる名前の、「ちびまる子ちゃん」の藤木くんのような三角の目をした人形が吊るされていて、これが交通安全祈願のマスコットなのだという。豆絞りの手ぬぐいをほっかむりのように巻き、ひょっとこのように口を突き出している、あまりありがたみのないマスコットだった。私は周りに人がいないのを確認して、背徳感にわくわくしながらこの星ちゃんに雪玉をぶつけていた。いたずらっ子の気持ちだった。
小学校の体育館に大勢の人が集められてざわついていた。私は小学校のあずき色のジャージを着ていて、体育館の扉がどこも開け放たれているので寒くて寒くて手をこすり合わせていた。そこに中学時代の体育教師(スキンヘッド)が現れ、適当にグループ分けをするときのように手の動きで人びとを2組に分ける。そして言う。「こっから左側の人たちはおうちに帰ってストーブで餅を焼きながら暖を取る、残りはバスケ」。餅焼きグループに含まれた私は指示通りに帰宅するのだけど、何しろ餅が家にないので同級生とどう誤魔化すか方法を考えていた。
別の夢。わりと凝った設計らしいモダンな家のなかにいる。窓という窓が全て分厚いカーテンで閉じられているので室内は暗く、それでも窓は開いているようで時折吹く風に揺れたカーテンの隙間から光が差し込んでいた。あるボタンを押すと家じゅうの換気扇が一斉に作動するように出来ていて、その風力でカーテンがブワアブワアと巻き上げられて、同時に白い日差しも入りこむさまに興奮していた。照らされた室内のようすに、意外と天井の高い建物であったことを知った。