2012/02/28

キャラメルで妥協した

これの続きで、私はこの駅だけはやたらと立派な田舎町を歩いている。だだっ広い田んぼに民家が点在するだけのところなのに、人通りはやたら多いのだ。しかし同一犯によるものと思われる通り魔事件が次々発生する。鼻に南天の実を詰められたり、熊手でうなじを捌かれたり、わりとよくわからない被害ばかりだった。人びとはすっかり怯えてしまってみんなで歩かなくなってしまった。もっとも、彼らの家がどこにあるのか全く謎だけども。 
どうも私はこの土地の人間ではないらしく、出先でこの事態に遭遇してしまって避難場所を探しているらしかった。ひとりでふらふら人気のない畦道を歩きながら、見えぬ通り魔から逃げながら歩いているうちに日が暮れ始めた。そして私は唐突に用水路のわきにでかい、ものすごくでかいだし巻き卵を見つける。淡くやさしい黄色をしたそれの渦に迷わず潜り込んで身を隠した。入ってみるとだし巻き卵はしっとりとしていて、チーズ蒸しパンに似ていて、低反発枕のような心地でなかなか気持ちがよかった。これならナイフで刺されても刃先が届かないだろうと安心していたら目が覚めた。