2012/11/06
コンピューターシティ
この世界は僕たちを覆うように出来ていて、それは脳が行う処理が及ぶ範囲という概念的な意味もあるし、より分かりやすいのは空間移動で直接感じる物理的な意味でもある。グローバルだとか宇宙開発だとか外に出たがる僕たちは、誰も自分たちが閉じた場所にいるだなんてあまり思わないけれど、僕たちは領域に無意識に依存しているのだろう。まやかしかもしれないこの世界だってひとつの領域であり、きっとそれが領域たるものの最上階層に位置しているとこれまた無意識に思い込んでいるのだ。産み落とされた僕たちはこの世界に覆われて、その内部で個別に新しい領域を創り出して組み合わせて引き離して、それは死ぬまで続く。死後はどうなるのかなんて人類が知能に目覚めて以来ずっと考えられているけれど、誰ひとり答えは出せていないなんて驚くべきことだ。きっと世界は僕たちにはすべてを見せてはくれない、すべてはそうなっている。だから宇宙の果てにはいつまでも追いつけないし、神というものだっていくつも存在するし、僕たちは謎を解く毎日なのだ。世界は完璧な計算で作られているのだ。
「僕たち」とは言うけれども、ヒトの形をした自分以外のこれらが僕と同じものという保証はない。もちろん顔や体型が全く同じだとかいう話ではない。そこに見えるものはまやかしという可能性もあり、触れたと思った感覚は触覚がエラーを起こしているのかもしれないし、んなことを悩んでいるのは世界で僕ただひとりかもしれないし、僕と他のものの境目だって曖昧な気がしてくるし、そもそも世界が何なのかなんて考え始めたら頭が煙を上げそうになる。
でも君と僕とは違うんだ。だって僕は君のことを理解できないんだから。
君の存在を僕の脳は理解できずに、内側から崩れて溶け出して
だから、僕たちふたりは違うんだって分かる。
これはきっと計算外なんだと、僕は、思う。
『コンピューターシティ』 Perfume